今日、人類は、高度に発展した文明により豊かな生活を享受するに至っておりますが、その生活の維持と更なる向上のために、エネルギーをはじめ様々な資源を多消費する傾向にあります。一方、資源の乏しい国土で人口が急増し、飢餓などの問題から国土の荒廃を招いている国も多々みられます。このような要因から地球規模での環境破壊が進行し、自然生態系の秩序も損なわれるなど、このままでは将来の人類の生存基盤が失われかねません。
 人類の将来の持続的発展を可能とするためには、資源問題の根幹をなすエネルギー問題において、クリーンで経済的な新しいエネルギー源を開発することが急務であると言えましょう。この新しいエネルギー源に関して殊に注目されているのは、熱・電気エネルギー技術(新水素エネルギー技術、熱電変換素子技術及び小温度差発電技術並びにこれらの技術を用いた新たなシステムに係わる技術をいう。)でありますが、この技術を実用化するためには、長期間にわたる基礎的かつ独創的な研究開発の積み重ねが必要であります。
 現在、国内外の大学、研究機関を中心として、熱・電気エネルギー技術の研究開発が進められておりますが、これらの研究開発の成果を一刻も早く具現化するためには、一企業や一国家という枠を越えて人類の英知を結集し、グローバルな研究開発の推進を可能とする体制の確立が必要であるとともに、かかる役割を果たす中核となる機関の設立が強く望まれます。
 このような観点から我々は、未来の新しいエネルギー技術の確立に向けて、熱・電気エネルギー技術の調査及び研究、情報の収集及び提供、研究会、セミナー等の開催、研究者等に対する助成等を行うことにより、熱・電気エネルギー技術の研究開発の促進を図り、もって我が国経済の健全な発展に寄与するとともに、国際協調による科学・技術の調和的発展に貢献することを目的とする「財団法人熱・電気エネルギー技術財団」を設立しようとするものであります。

設立者一同